研究開発

皮膚が太陽光を浴びることでつくられるビタミンDは、一般的に「太陽のビタミン」と呼ばれています。栄養機能食品の成分としては、所定量の配合で、「ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。」と標榜が可能で、骨の形成を助ける栄養素として知られています。近年の研究では、ビタミンDの摂取により、転倒防止・運動機能の向上などの結果が報告されています。

【関連論文紹介】
ビタミンDは、ビタミンD2とビタミンD3の2種類の化合物があります。ビタミンD2は植物に、ビタミンD3は動物に多く含まれます。人の体内では、皮膚に存在する、7-デヒドロコレステロールが太陽光にあたると、プレビタミンD3を経て、ビタミンD3へ転移します。ビタミンD3は肝臓で活性型ビタミンD3の前駆体となり、腎臓で水酸化されて活性型ビタミンD3となります。細胞のビタミンD受容体に活性型ビタミンD3が結びつき、たんぱく質の遺伝子発現を誘導する事により、腸管でのカルシウムの吸収の促進、血液中のカルシウム・リン酸の恒常性維持等の効果が知られています。

ビタミンD3は油分の多い魚(鮭・鰯・鯖など)に多く含まれ、食事からの摂取が不十分な事や、太陽光に当る時間が不十分な事により、体内のビタミンD3は欠乏し、骨粗鬆症・骨軟化症・くる病等の発生リスクが高まります。

65歳以上の高齢者の方を対象とした試験で、血清中の活性型ビタミンD3濃度により、転倒の防止や運動機能の向上の報告がされています。活性型ビタミンD3濃度が50nmol/L以上の被験者は、50nmol/L未満の被験者よりも、転倒の防止・バランス能力(開眼片足起立時間)・歩行速度について、有意に優れている事が明らかにされています。また17.5〜25μgのビタミンD3を2〜5カ月摂取する事で、転倒が防止される事が報告されています。他に12〜14歳の女性を対象にした、ビタミンD3と運動機能(跳躍速度、跳躍の高さ、跳躍力)の関係性について、活性型ビタミンD3濃度が高いほど、運動機能も高いと報告されています。

このように、ビタミンD3は骨粗鬆症だけでなく、サルコペニア(加齢性筋肉減少症)にも有効であると考えられ、ロコモティブシンドロームを包括的に予防できる成分として、注目されています。

【参考文献】
日本人の食事摂取基準(厚生労働省)
ビタミンD摂取による運動機能の向上(FOOD STYLE 21)

血中250H-VDが25ng/mlで腰椎骨密度が有意に上昇する
ビタミンDの摂取量が多いほど、脚の運動機能が改善し、転倒リスクが低くなります
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