研究開発

「バイオクリニカ」誌に低分子化ヒアルロン酸含有自然由来成分を使用した食品の研究成果が掲載されました。

BCAAとは分岐鎖アミノ酸(Branched Chain Amino Acids)の略語です。該当するアミノ酸はバリン・ロイシン・イソロイシンで、生体内に存在しています。
また栄養学的に必須アミノ酸であり、生体内で合成する事ができない為、食事や健康食品で摂取する事が必要な成分です。
筋肉づくりの為には、筋肉量を増加させ、エネルギー産生を高め、疲労の蓄積を防ぐ事が重要と考えられています。 BCAAは筋肉たんぱくの分解を抑制し合成を促進させるなど、筋肉の維持、増強の為に重要な成分として、近年注目されています。
また運動不足や老化により筋肉が衰えると、歩行機能などの運動機能障害、転倒、骨折を引き起こし、 日常生活活動や生活の質の低下、虚弱の要因となります。このような筋肉が衰える症状はサルコペニアと呼ばれ、寝たきりなどの要介護状態を引き起こす要因の一つと言われています。筋肉を維持する事は、アスリートだけでなく健康な生活を目指す全ての方に対し重要であり、目的に応じてBCAAを摂取する事の意義は大きいと考えられています。

BCAA摂取による運動後の筋漿タンパク分解の抑制
【関連文献紹介】

バリン・ロイシン・イソロイシンはその炭素骨格に枝分かれ構造を持つ事から、分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ばれます。BCAAは下のような機能が確認されています。

・たんぱく質合成促進作用

ロイシンはたんぱく質因子(mTOR)のシグナル活性化を経て、P70S6キナーゼをリン酸化、及び翻訳開始因子e1F-4Eに結合するたんぱく質因子(4E-BP1)をリン酸化して、mRNAからの翻訳を促進し、たんぱく質合成を促します。

・筋肉損傷抑制

筋肉組織内酵素であるクレアチンキナーゼ(CK)や乳酸脱水素酵素(LDH)の血中での活性を筋損傷指標として観察した人に対する実験で、運動後の血中CK活性及びLDH活性の上昇がBCAA摂取によって有意に抑えられました。BCAA摂取によりたんぱく質代謝が合成側に傾く事により、筋肉損傷が抑制されたと考えられます。

・乳酸産生抑制作用

BCAAがエネルギー源として利用される際、最終的にアセチルCoAまで代謝を受け、ピルビン酸生成を経る事なくTCAサイクルに入る為、筋肉疲労物質として知られている乳酸を産生しないと報告されています。

・運動時の集中力向上

長時間の運動はセロトニンが脳内に蓄積する事によって集中力低下が起こると考えられ。脳内セロトニン合成の増加は、セロトニンの前駆体である血中遊離トリプトファンの増加によって起こると考えられています。血中トリプトファンは通常アルブミンと結合しているが、遊離状態のものだけが脳関門を通ると報告されています。脳関門の通過は特異的トランスポータ?を介して行われますが、このトランスポーターはBCAAと共通であり、血中のBCAAとトリプトファンの濃度比により、脳関門を通過するトリプトファンの量に変化があります。よってBCAAを摂取する事により、脳内にセロトニンが蓄積しにくいと考えられています。

・その他

肝機能改善、運動後の免疫低下の抑制、内臓脂肪の低下、などの報告があります。

【関連論文】

■運動とたんぱく質・アミノ酸・スポーツと栄養と食品

 下村吉治, 1996, P53-67(朝倉書店)

■肉体の疲労と心の疲労、疲労の科学

 征矢英昭, 2001, P43-72(講談社)

■サルコペニアとアミノ酸栄養

 小林久峰, FOOD STYLE21, Vol.16, No.3, 2012, P42-44

■筋肉代謝とアミノ酸の作用

 小松美穂, FOOD STYLE21, Vol.6, No.11, 2002, P53-56

■Suppression of glycogen consumption during acute exercise by dietary branched-chain amino acid in rats.

 Shimomura Y. et al. Journal of Nutritional Science & Vitaminology. 2000, 46(2); 71-77

■Amino acids, brain neurotransmitters and a functional link between muscle and brain that is important in sustained exercise, in Advances in Myochemistry.

 Newsholme E.A. et al., BenziG.eds. P127-133, John Libbey Eurotext(London)

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